アウイナイトにおけるエンハンスメント

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宝石によって違うエンハンスメントの方法

宝石の加熱処理に「エンハンスメント」と「トリートメント」があるとご紹介したのは記憶に新しいかと思います。その、エンハンスメントは宝石によって微妙に違ってくるんです。以前はルビーとサファイヤを中心にご紹介しました。そこで今回はアウイナイトのエンハンスメントについてご紹介いたします!

アウイナイトとは?

アウイナイトは、ラピスラズリの構成物の一つで、3大ブルーと称されるほどの深みのある青色が特徴です。
『アウイナイト』の名前の由来は、この鉱物を発見したドイツの鉱物学者R.J.Hauy(ルネ・ユスト・アユイ)氏の名前に因んで付けられました。アユイ氏は元々は司祭だったのですが徐々に結晶学に傾倒していき、パリの自然史博物館の教授になったという経歴の持ち主で結晶学の父とも言われています。

ラピスラズリとは?
ラピスラズリは日本では瑠璃(るり)と呼ばれ、七宝の一つでもあります。そのラピスラズリとは、正確には一つの鉱物をさす名称ではなく、ラズライトを中心とし、ソーダライト、アウイナイト、ノーゼライトで構成され、そこに部分的にカルサイト(白っぽい筋模様)やパイライト(黄鉄鉱でできた金粉模様)が混入したものを指します。

アウイナイトってどこで採れるの?

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アウインは火山性の鉱物なのでイタリアのカナリア諸島やアメリカ、メキシコなどでも発見されています。しかし、宝石としての使用に耐えうる品質のものは、ドイツでしか産出せず、とくにドイツのアイフェル地方、ニーダーメンディッヒは有数の産地で、「アイフェルのサファイア」と称されています。ただ実際問題、同じサイズのサファイアを遥かに凌ぐ価格で販売されています。
この地方のものは12900年前のラーハ湖の噴火によって出来たものと考えられています。

アウイナイトのエンハンスメントとは?

エメラルドにオイルや透明剤の含浸が行われるのが一般的なようにキズ気が多いアウイナイトも一般的に無色透明剤の含浸がエンハンスメントとしてなされています。
その為、お湯での洗浄や、超音波洗浄は不可です。モース硬度5.5-6と低めですので、保管やメンテナンスは要注意です。オススメの保管、お手入れ方法は柔らかい布のセーム皮等で「日ごろから丁寧にふくこと」です。

セーム皮
宝石貴金属の汚れを拭き取るのに使用する柔らかい布で、一般的に鹿皮の物が多いですが、他の動物の皮の場合もあります。セーム皮は、きめが細かく滑らかでモース硬度を気にせず色々な宝石のお手入れに使用することが出来ます。

アウイナイトのエンハンスメントで気を付けること

今回はアウイナイトのエンハンスメントについてご紹介してきました。
エンハンスメントは宝石の種類によって方法が違うんですね。アウイナイトのエンハンスメント後の保管やメンテナンスはひと手間が必要ですので気を付けましょう。特に他の宝石と一緒にしまうとすぐに傷ついてしまうので注意が必要です。
各宝石ごとに合った加熱処理を行うことでより一層輝きが増すので加熱処理についてご紹介している記事もぜひ一読してみてくださいね。

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