宝石に施される加工処理あれこれ 第1弾

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宝石は昔からその宝石をよりよく見せるために多種多様な処理が研究されてきました。中には天然の物とは外見が変わってしまうような処理もありますが、基本的には、「宝石の外観もしくは性質を人工的に変質させ、その宝石を改善させる工程」を宝石の加工処理と定義されています。
例えばですが、宝石をジュエリーに加工するときに必ずと言っていいほど施されている『研磨』や『カット』は処理には入りません。カットを施された宝石だとしても、その宝石の色やクラリティ、輝きや耐久性を向上させるために施されるものが『処理』ということになります。
皆さんが宝石が販売されるときには消費者保護を考えてその宝石に施された処理の内容は鑑別書に記載されるようになっています。
今回はそんな宝石の加工処理をそれぞれご紹介いたします。

いろいろある宝石の処理方法をご紹介

それではそれぞれの処理について具体的にご紹介します。

加熱処理

kanetuルビーやサファイアを始めとした所謂、色石に施される処理の一つです。
この処理は、宝石の色やクラリティを改善させることを目的として、宝石を高温の熱処理を施します。有名な加熱処理方法としては「ルビーやサファイア」で、色の悪い物をるつぼに入れ、1000度以上で焼くという方法を採ります。ルビーやサファイアなどのコランダムは95%以上が加熱処理を施されており、市場でも広く受け入れられている処理方法です。

染色

tyakusyoku染色は言葉の通り宝石の色を改善するための処理です。これは多孔質の宝石やフラクチャー(割れ)のある宝石に染色用の染料を注入し色を変えます。多孔質でない宝石の場合、加熱することによってフラクチャーを意図的に作りそこに染料を入れることによって色を加工されることもあります。
染色は養殖や天然に関わらず質の低い真珠に色をより強調し外観を改善するために施される事がよくあります。

フラクチャー充填

flac「フラクチャー充填」は1980年代に開発された処理方法で、主にダイヤモンドの見かけ上のクラリティを向上させる処理です。その方法は宝石の表面にあるフラクチャーにガラスや樹脂、ワックス、オイルを充填します。充填するものは基本的に無色の物で、例えばダイヤモンドの場合は、ダイヤモンドの屈折率に近いガラス質の物を充填します。フラクチャー充填処理の検知は拡大検査で、フラッシュ効果の有無で検知することができます。

漂白

hyouhk言葉からある程度どのような処理なのかイメージできるかと思いますが、宝石表面の汚れやシミを取り除く人工的な処理を『漂白』と言います。宝石によっては一度「漂白処理」されてから染色が施されます。
『漂白処理』が施される最も代表的な宝石は「パール(真珠)」です。真珠は色に均一性をもたせ明るく見せるために基本的に過酸化水素で漂白処理が施されます。

表面コーティング

近年の「ピンクダイヤモンド」に施される人工処理です。方法としては、「バッキング」と言われる方法で宝石の裏側に着色剤を貼る方法や、宝石の表面全体や一部に色を改変させるための塗料をコーティングすることによって色を変える方法です。
ダイヤモンドの「表面コーティング処理」は油性ペンを使う方法もあります。ダイヤモンドはガードル面にペンを走らせると石の外観がそのペンの色を反映し効果的なコーティングになります。現代的な方法は金属酸化物を蒸着させる方法を用います。

まとめ

今回は様々ある宝石に施される加工処理をご紹介しました。
宝石に対する人工的な加工処理の目的は基本的に宝石をよりよく見せるために研究されたものです。しかし中には品質の悪い宝石を良品と見せかけるために加工処理を行っている場合もあるので、宝石の処理にはどのようなものがあるかは知っておいた方がいいですね!

ルビーの加熱、非加熱ってどういうこと?

2016.06.08

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