“屈折率と分散度”が高い代表的な宝石まとめ【宝石豆知識】

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dyict

宝石の中にはダイヤモンドのように七色に輝く宝石があります。それは太陽光をガラスや水晶などのプリズムに通すことで起こります。理科の実験でおなじみの、「光の分散」という現象です。これは、それぞれの色の光の屈折率が異なっているために起こります。「屈折率」は、光の曲がる角度のことですが、光が物質を透過するスピードも表しています。つまり、屈折率の高い物質ほど光の透過スピードが遅く、きらきらと輝く、というわけです。ダイヤモンドは光の分散度と屈折率が非常に高いため、すばらしい光を放つと共に、「ファイア」と呼ばれる虹色の輝きを示します。

光の屈折率、分散度が高い代表的な宝石

ダイヤモンド

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屈折率:2.41 分散度:0.04
ダイヤモンドの屈折率は合成ルチルに次ぎ、非常に高い率でダイヤモンドの輝きの元になっています。屈折率が大きいと臨界角が小さくなり、臨界角が小さければ、全反射領域は広いことになる為、輝きが多いことになります。また白色光線が屈折された時に各々の波長の差によって7色の虹に分かれることをファイアと呼びます。ダイヤモンドの分散度のファイアは明瞭で、ダイヤモンドの輝きに色を添えています。ダイヤモンドの代用石である合成ルチルや合成チタン酸ストロンチウムは分散度が大きすぎ、ファイアが強すぎるので俗に言う品が落ちた輝きであると言われます。

スフェーン

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屈折率:1.9 – 2.0 分散度:0.055
スーフェンは屈折率がダイヤモンドにも匹敵する宝石です。スフェーンのユニークな特徴としては複屈折があります。このジェムストーンを光が通過すると二本に分かれます。その結果、後端面が二重に見え、ジルコンのダブリングのように、美しくやわらかに霞がかったように見えるのです。そのため光が差込むとクラック(ひび)部分がゆらゆらと揺らいで見えるような錯覚が見られます。また、ダイヤモンドより光の分散(ファイア)が強い石ですので色の変化が激しいと言われています。

スファレライト

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屈折率:2.370 – 2.400 分散度:0.156
スファレライトも屈折率2.37と、ダイヤモンドに匹敵する屈折率を誇ります。光の分散率がダイヤモンドの約4倍で非常に強いファイアが特徴です。しかし、この特徴はクリーンなマテリアルでないと発揮できません。

また、良質なものからはファイア(虹色の輝き)を見ることができます。そのことから「幻惑の石」と呼ばれることもあります。

デマントイド ガーネット

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屈折率:1.8 分散度:0.05
デマントイド ガーネットの屈折率はダイヤモンドに劣りますが、これは宝石の中に入った光の多くが、外に逃げるのではなく、宝石内部に跳ね返ることを意味しています。つまり人間の目には光沢や輝き、すなわち「ブリリアンス」(brilliance)として認識されるということです。また分散度はダイヤモンドより高いため、他の宝石よりもファイアは強く出ます。緑色が濃ければ濃いほど評価は高くなりますが、ファイアに関しては薄い緑の方が多く出すという特徴があります。

ベニトアイト

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屈折率:1.757~1.804 分散度:0.044
ベニトアイトの屈折率はダイヤモンドより低いですが強い二色性と複屈折率を持ち、さらにダイヤモンドよりも高い分散率を持っているため強い輝きを放ちます。青紫の色相は見る角度で濃淡を変化させる多色性の特徴を持つ上にダイヤモンドに見られる虹色の煌きファイアという特性も持っています。ほとんど が青系の色味ですが、まれに透明のものもあります。ファイヤは無色透明である方が、同じ屈折率・分散率であった場合には見えやすいため、透明でインクルージョン(内包物)のないベニトアイトの輝きは相当であると言えます。

輝きの強さと屈折率と光の分散度

今回は宝石の光の屈折率と分硬度を紹介してきました。いかがでしたか?ダイヤモンドの輝きの強さは宝石の中で「一番大きい屈折度」で裏付けられています。しかし、圧倒的な一番ではないことがわかって驚いたのではないでしょうか。屈折度こそダイヤモンドには劣りますが光の分散度ではダイヤモンドに匹敵したり超えたりする宝石も多いです。そのため、輝きの強さは一概にダイヤモンドが一番とは言えないのです。とにかく、今後ジュエリーを検討する際には少しだけ「屈折度と分散度」の意識してみるとより輝きの強いジュエリーを選択できるかもしれませんね。

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